研究課題
特別研究員奨励費
当研究室では、エレクトロクロミズム系の構築に際して、電子移動によって可逆なC-C結合の形成および切断を生じて、動的な構造変化を伴い、分子が酸化および還元される動的酸化還元(dyrex)系が有効であることを見出してきた。この性質は、将来的に1分子が1ビットとして働くような単一分子メモリへの展開を期待できる。このようなdyrex系は主に2つのタイプに分類でき、酸化に際して環内の結合が切断されて電荷が生じるもの(Type I)と、酸化に際して新たに環構造を形成しながら環の外側に電荷が生じるもの(Type II)である。昨年度には、どちらのタイプにおいても基本ユニット(酸化されると2価カチオンを発生)を2つもしくは3つ連結した化合物の合成に成功しており、またこれらが目的のdyrex挙動を示すことを明らかとした。本年度は、どちらのタイプにおいてもポリカチオン種の単離に挑戦した。Type I・Type IIともに、目的のポリカチオン種の単離に成功した。これらの構造は1H NMRで確認している。特にType Iでは、単離したポリカチオン種の吸収スペクトルの測定に成功しており、ユニットを3つ持ったヘキサカチオンは、ユニットを2つしか持たないテトラカチオンより、カチオン部位に特徴的な長波長部の吸収が増大していることも確認できた。一方Type IIでは、カチオン種において、カチオン部位となるメチレン部の脱プロトンが進行しやすく、純粋なポリカチオン種の吸収スペクトルを得ることはできなかった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
Chem. Lett.
巻: 45 号: 7 ページ: 2582-2586
10.1246/cl.160278
130005253001
Wiley.
巻: Chapter 2 ページ: 13-38
Chemistry Letters
巻: 44 号: 7 ページ: 905-907
10.1246/cl.150251
130005085140
http://barato.sci.hokudai.ac.jp/~org1/index.html