研究課題
特別研究員奨励費
本年度は眼内増殖性疾患特徴遺伝子の1つであるペリオスチンを標的とした新規1本鎖核酸医薬(NK0144)の網膜前病的血管新生抑制効果を検討した。In vitroにおいてペリオスチン刺激により培養ヒト網膜血管内皮細胞の増殖・遊走・管腔形成が有意に促進した。また、糖尿病網膜症患者の硝子体中で増加している炎症性サイトカインの1つであるIL-13刺激により、培養ヒト網膜血管内皮細胞のペリオスチン発現が著明に増大した。新規1本鎖核酸医薬であるNK0144でIL-13刺激による培養ヒト網膜血管内皮細胞のペリオスチン発現増幅を有意に抑制できた。次にIL-13刺激によるペリオスチン発現増幅下で亢進する培養ヒト網膜血管内皮細胞の遊走、管腔形成をNK0144によりそれぞれ有意に抑制できた。また、RNA干渉を用いる2本鎖siRNAの場合に問題視されているTLR3を介した非特異的血管新生抑制作用に関しても、1本鎖であるNK0144を導入した培養ヒト網膜血管内皮細胞ではTLR3のリン酸化は認めなかった。In vivoではマウスOIRモデルでペリオスチンの発現が増大し、その発現は蛍光免疫染色で血管内皮細胞、血管周皮細胞、マクロファージの一部と共染した。ペリオスチンノックアウトマウスでは網膜前血管増殖は、野生型に比べて減少しており、ペリオスチンが網膜前血管増殖を促進していると考えられた。このモデルにFITC標識NK0144を硝子体内投与したところ、投与後24時間から網膜前血管増殖内への到達を認め、少なくとも120時間までは残存していた。ペリオスチンノックアウトマウスと同様に、NK0144投与により網膜前血管増殖はコントロール薬投与に比べて有意に減少していた。NK0144の網膜前血管増殖抑制程度は従来の2本鎖siRNAと比較しても有意であった。以上よりペリオスチン抑制新規1本鎖核酸であるNK0144は糖尿病網膜症で問題となる網膜前血管増殖に対する新たな治療薬となる可能性が考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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福岡県眼科医会会報
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