研究課題
特別研究員奨励費
引き続き、「生細胞内で発現された転写因子の段階的なDNA認識動態について、それらの拡散動態が生じるために必要な外的・内的環境条件を決定付けること」を目的とし、研究を進めた。1.FMBP-1の超解像観察:前年度までの蛍光相関分光法(FCS)による解析から、細胞核内のFMBP-1の複数の拡散動態は、クロモソーマルDNAとの相互作用を反映すると示唆された。本年度は超解像顕微鏡によるさらなる解析を行った。蛍光標識を施したヒストン蛋白質H2BをEGFP-FMBP-1融合蛋白質と同時にHeLa細胞に発現させ、SIM顕微鏡を用いて観察した結果、野生型のFMBP-1とH2Bで明らかな共局在が見られた一方、DNA結合能欠損変異体FMBP-1とH2Bの分布が重ならないことが明示された。このことから、FMBP-1の相互作用相手が核内クロモソーマルDNAであることが確かめられた。2.FCCSによる解離定数(Kd)の導出:前年度の研究で、細胞溶解産物(ライセート)中での蛍光相互相関分光法(FCCS)測定によってFMBP-1とDNAプローブの相互作用が定量可能なことが示された。本年度はこの研究をさらに進め、多種類のFMBP-1変異体とDNAプローブを組み合わせて滴定実験を行い、Kdを算出した。野生型FMBP-1と認識配列DNAプローブ間のKdは数百nMと算出された一方、DNA結合ドメイン欠損変異体では有意な相互作用は見られず、少なくとも10 μM以上の高いKdが推定された。これらの実験の結果から、FMBP-1のDNA結合能の配列特異性が初めて定量的に示された。3.海外研究所における短期訪問研究:本年度はスウェーデン・カロリンスカ研究所に短期滞在し、同所にて開発中の多点同時FCS解析装置によるFMBP-1の拡散動態観察を試みた。現地の研究員と協力して実験系を立ち上げ、多くの測定データを得ることができた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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FEBS openbio
巻: 6 号: 2 ページ: 106-125
10.1002/2211-5463.12026
120005756103