研究課題
特別研究員奨励費
フェノール誘導体やアニリン誘導体を求核剤としたアレニルプロパルギル錯体への分子内Friedel–Crafts型アルキル化反応を応用し、多くの医薬有用分子に含まれる共通骨格である3,4位縮環型三環性ベンゾフラン、インドール類の新規合成法の開発を行った。予備検討の段階で、ベンゾフラン誘導体に関しては目的の7員環縮環体を得ることに成功していたが、インドール誘導体に関しては異なる中間体を経由したと思われる6員環縮環体を選択的に与えるという知見を得ていた。申請者は0価白金触媒を本反応系に用いた際に、当初の目的であった7員環縮環型インドリン誘導体を効率的に与えることを見出し、選択性に関する問題を解決した。アニリン類を求核剤として用いアレニルプロパルギル錯体中心炭素への直接的炭素―炭素結合形成を実現した点、アレニルプロパルギル錯体由来の反応を0価白金触媒のみを用いて進行させた点が、本研究の特筆すべき点である今年度は開発した反応の有用性を実証すべく、基質適応範囲や誘導体化の検討、生成物の生物活性評価を行った。基質一般性に関しては、芳香環の置換様式や側鎖の異なる16種類のアニリン誘導体を調製し反応を行うことで、本反応が問題なく進行することを確認した。特に、生物活性天然物との共通骨格である、窒素架橋された縮環体や8員環縮環体を触媒的に与える点は注目に値する。また、得られた16種類のインドリン誘導体は、いずれも過剰量のトリフルオロ酢酸で処理することで効率的にインドール誘導体へと変換されることも見出した。さらに、合成したインドリン、インドール誘導体を共同研究先に供出し生物活性評価を行っていただいた結果、一部化合物に関して癌細胞選択的に増殖抑制作用を示すという知見が得られた。また開発した反応を用い、天然物Fargesineの全合成も達成した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.p.chiba-u.jp/lab/yakka/index.html