研究課題
特別研究員奨励費
本研究は既存の抗EGFR療法と異なる作用機序を持つハイブリッド型分子標的ペプチドであるEGFR-lyticペプチドの食道癌細胞株に対する有効性をin vitro, in vivoの実験系で検証し、食道癌、特に抗癌剤耐性食道癌に対する有効な治療法を確立することを目的とした。食道癌細胞株(TE-5, TE-8, TE-10, TE-11)および5-FU耐性細胞株(TE-5R, TE-11R)のEGFR発現量、EGFR変異の有無をWestern blot法、PCR法で検討し、全ての食道癌細胞株におけるEGFRの発現を確認した。またこれらの細胞株においてEGFR-lyticペプチドが低濃度(IC50値 < 5μM)の低濃度で抗腫瘍効果を発揮することを確認した。位相差顕微鏡でのタイムラプスイメージング及びLDHアッセイにより、この抗腫瘍効果の機序が細胞膜の破壊によるものであり、抗腫瘍効果が短時間(30分以内)で発揮されることを確認した。TE-11R細胞を用いてマウスxenograftを作成、EGFR-lyticペプチドおよびコントロールペプチドを複数回皮下投与して腫瘍体積を継時的に測定し、EGFR-lyticペプチドが有意に抗腫瘍効果を有することを確認した。 EGFR-lyticペプチドをマウスに種々の濃度、期間、投与法で投与し、食道および他の臓器への安全性を確認した。組織学的、血液学的に検討し、特に投与の支障となるような有害事象を認めなかった。 さらにヒト皮膚細胞および食道細胞を用いた3D培養モデルにEGFR-lyticペプチドを曝露し、組織学的にEGFR-lyticペプチドによる傷害を認めなかった。以上の結果をScientific reports誌に投稿し、2016年2月に掲載された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
Scientific reports
巻: 6 号: 1 ページ: 22452-22452
10.1038/srep22452
American journal of cancer research
巻: 5 ページ: 2431-2440