研究課題
特別研究員奨励費
第一世代星は宇宙の初期進化において重要な役割を果たすが、未だ観測されておらず理論研究が先行している。星質量は星の一生を左右する重要なパラメータであり、本研究では第一世代星の星質量を明らかにするために、標準宇宙モデルに基づく宇宙論的初期条件から星の誕生までを数値シミュレーションを用いて調べている。前年度は多数の第一世代星を取得して系統的な解析を行うことで、形成過程と星質量の典型的な性質を示した。今年度は系統的調査を拡張するため宇宙論的初期条件の見直しを行い、前年度調べた典型的な第一世代星に対して個数は少ないけれども極めて特徴的な星形成過程を確認した。得られた成果は査読論文1報・国内学会6件・国際学会2件を通して発表している。1. 宇宙論的初期条件は観測的制限のある始原的密度ゆらぎを再現するよう作られるが、第一世代星を形成する小規模ゆらぎは観測解像度以下であるため理論モデルによって補完されている。小スケールゆらぎモデルを変えた場合の宇宙論的初期条件からの第一世代星の形成過程を調べたところ、モデルによって第一世代星の形成時期と星質量が大きく変化した。これは将来観測される小スケールゆらぎがこれまで採用されていたモデルと異なると、宇宙初期の天体形成シナリオが書き換わる可能性を示唆する。2. 近年、宇宙再結合期のバリオン・ダークマター間の速度差が宇宙初期の天体形成を左右する可能性が指摘された。速度差が第一世代星形成に与える影響を宇宙論的氏みゅれーションより調べた。速度差が一定以上あるとダークマターハローへのガス収縮が妨げられて星形成が遅れ、星形成ガス雲の質量が増大する。一方でジーンズ質量は小さいままであり、ガス雲は分裂して初代星からなる星団となる。また極めて大きな速度差の元ではガス雲が大質量・高温となるまで星形成が阻害され、ガス雲全体が重力不安定となって収縮して一つの大質量星となる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
The Astrophysical Journal
巻: 814 号: 1 ページ: 18-25
10.1088/0004-637x/814/1/18
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: Volume 448 号: 1 ページ: 568-587
10.1093/mnras/stv044