研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、質量分析法(MS)を用いて血清中のAGEs修飾タンパク質の同定を行った。MS測定において、網羅的解析および高感度な検出を可能とするためには、生体試料から標的物質を分離・濃縮する前処理技術が重要となる。抗体とプロテインA/Gビーズを用いた一般的な免疫沈降法では、血清を試料とした場合、以下の問題点が挙げられる。(1)血清に大量に存在するIgG抗体やアルブミンの除去操作が必要で、完全に除去するのが難しい。(2)プロテインA/Gビーズには血清由来の抗体も結合するので、抗体のモノクローン性が保証できない。そこで、GA-pyridineに特異的なscFvとGRPタグを融合させた機能性scFv-GRP分子を用いた新規AGEs分離・濃縮法を開発した。アルブミンや抗体の除去操作を行っていない健常人の血清試料を、大腸菌発現系によって調製したscFv-GRPとカードランビーズを用いて免疫沈降を行い、SDS-PAGEによって分析した結果、GA-pyridine修飾タンパク質を分離・濃縮していることが示唆された。得られた濃縮液をLC-MS/MSにより測定し、タンパク質の同定を行った。また、平成26年度に作製した、カルボキシメチルリジンに特異的な6D12scFvとGRPタグの融合抗体は、GA-pyridine特異的scFvとは異なるタンパク質を濃縮していた。よって、本手法はGA-pyridine以外のAGEsについても適用できることが示され、糖尿病合併症・動脈硬化症等の疾患・予防に有用なバイオマーカーの探索に貢献することが期待される。また、本手法は特許出願を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 図書 (2件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
J. Biochem.
巻: 161 号: 1 ページ: 37-43
10.1093/jb/mvw050
http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/center/souyaku/project/morioka.html