研究課題
特別研究員奨励費
今年度、オレフィンへのヘテロ原子導入型修飾反応として、可視光酸化還元触媒を用いる2つの反応を新規に見出した。1つ目は、「オレフィンアミノトリクロロメチル化反応」である。二重結合に対し、アミノ基とトリクロロメチル基を同時に導入する反応は知られていない。生物活性アルカロイドの中にはトリクロロメチル基を有しているものがあることや、トリクロロメチル基は、カルボン酸やアルキンへと変換可能であるため、本反応は合成化学的に重要であると考えられる。可視光酸化還元触媒として、Ir(ppy)2(dtbbpy)PF6を選び、トリクロロメチルラジカル源として、BrCCl3を用いることで目的の反応は進行した。この際、塩基としてLi2CO3、溶媒をCH2Cl2とH2Oの二層系にした反応条件を選ぶことにより、より収率良く反応が進行した。また、生成物をCrCl2を用いる反応条件に附すと、ビニリデンカルベンを中間体とした反応機構により、多環性化合物への変換反応も達成した。2つ目は、「α-アルキルスチレン誘導体の酸化反応」である。本反応では、酸素雰囲気下、可視光酸化還元触媒としてRu(bpy)3(PF6)2を用いることが必須であるが、さらにHantzschエステルとCu(OTf)2を添加することにより、円滑に酸化反応が進行した。酸化生成物をLewis酸条件下に附すことで、環状α-アリールケトンへの合成をも達成した。環状α-アリールケトンはしばしば合成が困難な化合物群であり、その理由として、ケトンのα位をアリール化する方法しかないためである。本方法論はアリール化合物に対し、ケトンカルボニルを導入するため、既存の別法として利用価値が高いと考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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