研究課題
特別研究員奨励費
本研究では多角的、マクロ的視点から中国近代史における満洲族社会の実態と旗人から満洲族誕生の過程を解明することを目的とし、北京及び満洲地域の清朝末期から中華民国北京政府時期、南京国民政府時期、満洲国時期の旗人・満洲族に関する資料調査を行っている。28年度は採用期間の最終年度であるため、研究課題の総括に取り組んだ。すなわち、清末、中華民国北京政府時期、南京国民政府時期、満洲国時期の旗人・満洲族の各時代の政治的、社会的環境の変化やそれにともなう自己意識の変遷について総括をおこなった。本年度は、前年度から引き続き、1910年代、1920年代の旗人・満洲族に関する資料調査をおこないつつも、特に力を入れたのが、20世紀初頭の清末時期と1930年代―1940年代の南京国民政府時期、満洲国時期である。北京政府時期の前段階である清末と、後段階である南京国民政府時期、満洲国時期の調査を重点的に行うことで、旗人・満洲族をめぐる通時的変化と空間的な相互関係を明確にした。調査した資料のうち主なものは、清末では、早稲田大学に留学していた旗人留学生恒鈞、烏澤声、穆都哩らが東京で創刊した雑誌『大同報』及び早稲田大学所蔵の清国留学生関連資料、そして北京で恒鈞らが創刊した日刊紙『大同白話報』、『中央大同報』等である。1930年―1940年代の資料では北京の日刊紙『実報』、奉天の日刊紙『盛京時報』等である。また、北京で実施した調査では、『大同報』の創刊者恒鈞の子孫への聞き取り調査をすることができ、従来知られていなかった恒鈞の民国以降の足跡を知ることができた。これらの調査を通じて旗人・満洲族をめぐる北京と満洲地方の密接な関係性や人の移動・往来、経済的結びつきについて多くの資料を得ることができ、20世紀前半の北京を中心とする華北地方と満洲地方にまたがる広域的マクロ的な旗人・満洲族研究を総括することができた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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『日本当代中国研究』
巻: 2014年号 ページ: 90-102
日本当代中国研究
巻: 2014年号