1.論文タイトル“Public Research Spending in an Endogenous Growth Model”は、国際学術誌であるMacroeconomic Dynamicsから2度目の改訂要求を受けたため、論文の改訂を行い再度投稿した結果、論文の掲載が受理された。この論文では、公的部門の研究者は民間部門の研究開発の生産性を上昇させるという正の外部性を仮定したモデルを構築し、公的部門の研究への政府支出についての政策的含意を分析した。この研究では、均衡の不決定性という新しい結果を得ることに成功した。不決定性の下では、ケインズの「アニマル・スピリット」で知られるように人々の将来に対する期待によって経済活動が影響を受ける。この結果は、公的部門の研究への政府支出の財源を資産所得税、消費税、法人税から調達し、さらに国債も発行しているという多様な政策手段もモデルに組み込んだ事によって得られた。さらに、家計の厚生に関して、厚生を最大にする政府の研究開発支出の水準は定常状態の成長率を最大にする水準よりも低くなることを示した。
2.論文タイトル“Basic and Applied Research: A Welfare Analysis”では、昨年度の成果をもとに国内学会や国際学会で研究報告を行い、多くの有意義なコメントを頂いた。さらに、国際学術誌への投稿も同時に行い、棄却されたがここでも多くの有意義なコメントを頂いた。また、今年度はコンピュータ―を用いた定量的な分析を行うために必要な手法を習得したため、理論モデルによる解析的な分析を中心に行っていた本研究において、数値シミュレーションを用いることによって更なる政策的含意を得ることが可能になったと考えている。以上のことを踏まえた上で論文の改訂を行っており、これらが完了次第再び国際学術誌へ投稿する予定である。
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