研究課題
特別研究員奨励費
2014年のひさき衛星の観測によって明らかになった金星熱圏の極端紫外大気光の周期変動の理解を深めるため、2015年のひさき衛星の観測データを用いて大気光の周期変動について金星朝側と夕方側の比較を行った。その結果、4日周期の変動が特に金星の朝側で支配的になることが明らかになった。金星の中層大気では大気が4日で循環(スーパーローテーション)していることが知られているが、先行研究との比較の結果、スーパーローテーションする大気層から熱圏へ伝搬する大気重力波が熱圏の酸素原子の密度変動を引き起こしている可能性があることが明らかになった。この内容は国際学術誌Icarusに掲載された。また、Masunaga et al. [2016]によって発見された火星周辺の酸素ピックアップイオンの磁気シース反射現象の理解を深めるため、イオン反射現象がどれほどの割合で起こるのかを定量的に評価した。酸素ピックアップイオンは火星超高層の中性大気の加熱および流出(スパッタリング)を引き起こす主な要素として知られており、特に過去の火星大気の流出に重要な役割を果たしてきたと考えられている。そのため、火星からの大気流出現象を理解する上で、酸素ピックアップイオンの運動を理解することは重要である。MAVENの約1年分データを統計的に解析した結果、酸素ピックアップイオンの平均反射率は14%であることがわかった。また、太陽風への依存性も調べたところ、太陽風磁場強度が6nTを超えるような激しい太陽風状態のときは反射率は約40%まで増加することが明らかになった。この結果は、過去の激しい太陽風状態に晒された火星においてイオン反射は現在よりも多く起こっていたことを示唆している。この内容は国際学術誌JGRに掲載された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Icarus
巻: 印刷中 ページ: 102-110
10.1016/j.icarus.2016.12.027
Journal of Geophysical Research Space Physics
巻: 印刷中 号: 4 ページ: 4089-4101
10.1002/2016ja023516
Journal of Geophysical Research, Space Physics
巻: 印刷中 号: 4 ページ: 3093-3107
10.1002/2016ja022465
Journal of Geophysical Research: Planets
巻: 120 号: 12 ページ: 2037-2052
10.1002/2015je004849