研究課題/領域番号 |
14J03772
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
須永 哲思 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2015年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2015年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2014年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 郷土教育 / 戦後教育史 / 社会科教育 / 地理教育 / 生活綴方 |
研究実績の概要 |
郷土教育全国協議会(以下、郷土全協)の創設者桑原正雄が作成した副教材には、「バタヤ」と呼ばれた廃品回収で生計を立てる人々や「ニコヨン」と呼ばれた日雇労働者が描かれている。地域社会の周縁に位置づけられがちな人々が、なぜどのように、戦後郷土教育の射程に捉えられていったのか。本年度では、1954年8月の東京都足立区本木町「バタヤ部落」のフィールドワークに着目した。機関誌上の大会記録や新たに発見したその当日資料を分析し、それが後に教材化されていく過程を考察した。 このフィールドは、関根鎭彦ら地理教育関係者による主導で行われたものであった。桑原の周縁的な人々への視角は、戦後郷土教育と地理教育の提携の中で学び取られたものだった。関根・桑原の志向は、「バタヤ」の生活に他地域に共通する資本制社会の問題を見い出そうとする点で一致していたが、「郷土」の位置づけには微妙な相違点もあった。この相違は、両者が作成した副教材の「バタヤ」「ニコヨン」の描き方により具体的な懸隔として現われる。 関根は、一般的抽象的な理論を導き出すことを重視し、「郷土」は個別具体例に過ぎず克服の対象とされた。関根の副教材では、「バタヤ」は都市生活の貧困問題を学ぶ具体例として、その生活のみじめさが強調された。他方で、桑原は、抽象的理論を地域社会の個別具体性から往還的に問い返す場を「郷土」と設定した。桑原の副教材は、「ニコヨン」の個別具体的な生活史にこだわりつつ、月給を得る工場労働者の中にも臨時雇と常用の格差を指摘しその関連を資本制社会の縮図として強調した。 桑原は、教室の中には、日雇労働者を親に持つ子どもも、工場労働者・資本家の子どももいることに注意を促した。戦後郷土教育とは、子どもの持つ生活現実の多様性を、階級対立図式には回収できない親の社会生活の次元に根ざして捉えることで、資本制社会のあり方そのものを問い返すものだった。
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現在までの達成度 (段落) |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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