研究課題
特別研究員奨励費
アセチル基及びサクシノイル基の割合が異なる二種のHPMC-AS (AS-LF及びAS-HF)溶液中における薬物(Carbamazepine: CBZ)及びHPMC-AS間の分子間相互作用をNMRにより評価した。CBZ/AS-HF溶液中におけるNOESYスペクトルにおいて薬物及びAS-HF間に相関ピークが認められ、溶液中においてCBZ及びAS-HFは分子間相互作用を形成していることが示唆された。一方、AS-LF溶液中では薬物及びHPMC-AS間にNOESY相関ピークが認められず、AS-LFとCBZ間の分子間相互作用はAS-HFと比較して弱いと考察した。更なる詳細な分子間相互作用の解明を目的として、CBZ/AS-HF溶液中でCBZピークを選択励起し、Saturation transfer difference (STD)-NMR測定を行った。その結果、HPMC-AS中のアセチル基プロトンにおいて最も強いSTDピークが認められ、HPMC-AS中のサクシノイル基のSTDピーク強度は極めて小さくなった。STDピーク強度は励起したCBZピークとの相互作用の強さに比例して増加することから、溶液中においてCBZはHPMC-AS中のアセチル基と特に強く相互作用を形成していると推察した。AS-LFと比較してアセチル基の割合が多くサクシノイル基の割合が少ないAS-HFは、より強い薬物結晶化抑制能を有することが確認されており、NMR測定により認められた各種置換基ごとの薬物との分子間相互作用の強度差が、HPMC-ASの薬物結晶化抑制能に影響を及ぼしていることが示された。NMR測定を用いて固体分散体による難水溶性薬物の溶解性改善メカニズムを薬物/ポリマー間の分子間相互作用の観点から解析することにより、難水溶性薬物の溶解性をより有効に改善する最適なポリマーの選択が可能となることが示された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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