研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は,学習者同士が適切な質問と反論を発言し合い,話し合いの質を相互に高め合うサイクルが発生するような『相互支援型アーギュメンテーション』を実現する教授方略について提案することであった.平成27年度は,以下の研究を実施できた。①2回目の実験授業の実施:『相互支援型アーギュメンテーション』に不可欠な「質問」に着目し、アーギュメンテーションにおける質問に着目した教授方略を考案した。具体的には、国内外の先行研究を網羅的に検討し、学習者がやり取りする質問のうち、アーギュメントの構成要素間の関連を問いかける「構造言及質問」と、自然事象のメカニズム等について問いかける「鍵探究質問」の2点に着目した教授方略を考案した。次に、それらの教授方略を反映した理科授業をデザインし,2回目の実験授業を実施した。②実験授業の総合的分析:2回目の実験授業で収集したデータの分析を行い,教授方略の有効性を総合的に検証した.デザイン研究と呼ばれる研究手法に基づいて,ビデオカメラによる授業の撮影,ICレコーダーによる児童音声の録音,児童のワークシートやノートの記録といったデータを収集し、それらのデータを多角的に分析した。その結果、実験授業の序盤に実施された1回目のアーギュメンテーションから、実験授業の終盤に実施された3回目のアーギュメンテーションにかけて、学習者の利用する「鍵探究質問」と「構造言及質問」の数が増加するとともに、主張のレベルに有意な向上が確認された。以上から、「相互支援型アーギュメンテーション」に必要な「質問」と「反論」の両者に着目した教授方略の提案までは及ばなかったものの、「質問」と「反論」のそれぞれに着目した教授方略の考案をすることができた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Procedia-Social and Behavioral Sciences
巻: 167 ページ: 91-95
理科教育学研究
巻: 55(1) ページ: 3-12
130004672272