特定の課題に取り組んでいない時に脳内で活性化されているデフォルトモードネットワークの活動と、自閉症傾向や共感傾向との関連を明らかにするための研究を実施した。デフォルトモードネットワークは社会脳との関連が想定されており、自閉症スペクトラム障害では活動が低下されていると報告されているが、その詳細は明らかになっていない。そこで、脳血流を測定できる光トポグラフィ(near infra-red spectroscopy: NIRS)でデフォルトモードネットワークの活動が捉えられるかを検討し、その活動と、自己記入式質問紙で測定する自閉症傾向や共感傾向との関りを明らかにする研究を行った。 上記の研究を進めるために、学内の倫理審査委員会に申請書類を提出し、承認を得て、講義後の時間等で被験者募集を行った。その結果、およそ20人の被験者候補が集まったため、実験を開始し、データの蓄積を進めた。集団解析の結果、デフォルトモードネットワークと自閉症傾向の間に有意な結果を認めることができなかったが、今後、ノイズ除去の方法をより精緻なものにし、さらに機械学習などの手法をもちいて分析を行い、まとめ次第発表したいと考えている。
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