研究課題
特別研究員奨励費
エキシトントランジスタの動作実証のためには、励起レーザによるZnInONからの発光が不可欠である。平成28年度は、ZnInONからの発光起源を同定するため、ZnInONからの発光とZnInON膜の表面モフォロジー、欠陥密度との関係などについて調べた。1.ZnInONのフォトルミッセンス観測ZnInON膜はRFマグネトロンスパッタリング法により、基板温度RT-450℃で作製した。基板にはZnOテンプレートを用いた。RT-150℃で作製したZnInON膜は2次元成長し、250-450℃で作製したZnInON膜は3次元成長していた。He-Cdレーザ(励起波長325 nm)を照射し、ZnInON膜のフォトルミッセンス測定を行った。3次元成長しているZnInON膜からの発光は観測されなかった。一方、2次元成長しているZnInON膜ではZnInON由来の発光が観測された。X線回折結果から刃状転位密度を算出したところ、2次元成長領域では6.6×108 cm-3とほぼ一定であったのに対し、3次元成長領域では1.6×1010 cm-3まで増加した。これらの結果から、低温形成したZnInON膜では、非発光中心となる欠陥密度が低減され、ZnInONからの発光が観測されたと考えられる。2.ZnInON膜の発光の空間分布RTで形成したZnInON膜のフォトルミネッセンススペクトルは広がりを持っていた。励起レーザを異なる位置に照射し、RTで作製したZnInON膜のフォトルミネッセンス測定を行ったところ、照射位置に依存した強い青色・緑色発光を観測した。このように、同一の薄膜の空間位置により発光スペクトルが異なるのは、組成・構造・欠陥などが空間的に不均一に分布していることを反映しているものとと考えられる。この原因の同定と空間均一な発光スペクトルを示す薄膜の実現が残された課題である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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