研究課題
特別研究員奨励費
光触媒は、光エネルギーを利用して有害物質を分解する環境浄化材料である。チタニア(TiO2)は、光触媒として実用化されている材料の一つである。TiO2は結晶構造の違いからアナターゼ型とルチル型に分けられる。光触媒としては、アナターゼ型がルチル型に比べて高い活性を示す。この活性の違いは両者の電子バンド構造や光励起キャリアダイナミクスの違いに起因すると考えられている。しかしアナターゼTiO2のキャリアダイナミクスに関する実験研究はほとんど行われておらず、その詳細は未だ解明されていない。光触媒の高機能化を実現する為には、光励起キャリアの振る舞いを解明し、アナターゼTiO2における高触媒活性の起源を明らかにする必要がある。本研究では時間分解光電子分光(TRPES)を用いて、チタニアにおける光励起キャリアダイナミクスの詳細をリアルタイム観測した。TRPES測定はSPring-8のBL07LSUにおいて行った。またキャリア寿命は、表面光起電力(SPV)効果により生じるピークシフトの時間変化から評価された。TRPES測定からルチル型およびアナターゼ型TiO2のキャリア寿命を算出したところ、アナターゼTiO2のキャリア寿命はルチルTiO2に比べて著しく長いことが明らかとなった。アナターゼTiO2における高光触媒活性は、この長寿命キャリアに起因する可能性が本研究により提案された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Spring-8 Activity Report
巻: -
J. Phys. Chem. Lett
巻: 5 号: 11 ページ: 1953-1957
10.1021/jz500770c
http://www.ph.sophia.ac.jp/~saka-ken/