研究実績の概要 |
当該年度は複数種の遺伝子改変マウスを交配することで脳腫瘍自然発生マウスモデルを樹立した。樹立したマウスモデルは生後約3-4ヶ月で脳腫瘍を形成することが確認でき、脳腫瘍細胞を回収、解析する技術も確立した。また本マウスモデルでは遺伝子変異細胞がGFP陽性となることからFACSセルソーティング法を用いて腫瘍形成過程における複数のタイミングでGFP陽性となる前腫瘍細胞を回収する技術を確立することができた。これらの確立した技術により、腫瘍細胞と前腫瘍細胞からDNA,RNAを回収し、網羅的な遺伝子発現解析、DNAメチル化解析、遺伝子変異解析等を行っており、今後詳細な解析が必要である。現時点で腫瘍形成過程において著明に発現変化を示す遺伝子群、また遺伝子異常を示す遺伝子群を同定することができた。 本研究で腫瘍形成に寄与していると考え注目しているEZH2のコンディショナルノックアウトマウスを本マウスモデルに交配することでEZH2の腫瘍形成に及ぼす影響についての解析も開始した。今後EZH2ノックアウト脳腫瘍発生マウスモデルを樹立し、その腫瘍形成能について解析することが必要である。EZH2ノックアウト脳腫瘍発生マウスモデルから経時的にGFP陽性細胞を回収、解析し、上記EZH2野生型脳腫瘍マウスモデルの結果と比較することが今後の課題である。以上の解析によりEZH2の治療標的としての有用性をより詳細に評価できると期待している。
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