研究実績の概要 |
本研究の目的は対称空間への群作用の幾何と Lie 群上の左不変計量の幾何を関連づけて研究することである. 平成 26 年度は主に Riemann 対称空間への群作用の軌道(等質部分多様体)の幾何について研究を行った. 主な研究成果は以下の通りである: (1) 複素双曲空間への polar 作用の軌道に関して研究を行った. 具体的には, 特異軌道を持たない polar 作用の軌道を分類し, それら軌道の幾何(極小性や Ricci soliton 性)を調べた. この成果については, 既に学術論文として出版されている. (2) 対称空間内の全測地的曲面に関して研究を行った. 具体的には, 「非コンパクト型対称空間内の非平坦全測地的曲面の然るべき合同類の集合」と「非自明な冪零軌道の然るべき共役類の集合」の同型を示し, さらに幾つかの対称空間に対してその全測地的曲面を明示的に分類した. この成果については, 現在論文を執筆中である. (3) 非コンパクト型対称空間内の Lie 超曲面 (特異軌道を持たない余等質性 1 作用の軌道) に関して研究を行った. 具体的には, 対称空間の階数が 1 の場合に, Ricci soliton となる Lie 超曲面を分類した. また, ある階数 2 対称空間内の Ricci soliton Lie 超曲面で, (κ,μ)-接触構造と呼ばれる特殊な接触構造をもつ多様体の例を構成した. これらの成果については, 現在論文を執筆中である.
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