研究実績の概要 |
本研究はカルシウムシグナル経路を一時的かつ特異的に光で活性化する方法を開発し、時間・空間的にダイナミックに応答するカルシウムシグナル経路を可視化する技術を開発することを目指した。 本年度は、神経細胞を含む興奮性細胞においてカルシウム誘発性カルシウム放出を行う小胞体膜上に発現するリアノジンジ受容体や、小胞体のカルシウムレベルの低下を感知するセンサーとして機能し、形質膜型カルシウムチャネルであるOrai1を活性化するSTIM1にLOVドメインを融合することを試みた。しかしながら、光照射依存的にカルシウム濃度を変動させることが可能なコンストラクションを得ることができず、しかも活性化型STIM1については海外の研究者によって同様のアイデアに基づく研究(Kyung T et al. Nature Biotechnol. 33, 1092-1096, 2015)が報告されてしまったことから、本研究を中断した。 一方、これらと並行して上記光摂動ツールによるカルシウムイオンの濃度変化を可視化可能にするために化学発光性の高輝度橙色カルシウム指示薬の開発を行った。具体的にはOrange-NanoLantern(Takai A et al. PNAS 112, 4352-4356, 2015)の化学発光タンパク質部分をRLucからNLucに置換することで発光強度を増加させた融合タンパク質を構築した。
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