研究課題
特別研究員奨励費
急性型ATL(成人T細胞白血病)の治療抵抗性の原因の一つとして疑われているATL前駆細胞の同定や、新たな診断・検査法の確立を目指し、将来的にはATLに対するより良い治療法の開発につなげることを最終的な目標として、本年度も患者プライマリ細胞を用いて研究を行った。昨年度、In-Vitroモデル(シャーレの中での間葉系細胞との共培養系)において、急性型ATL(CD4+CADM1+)細胞集団の中の特定の分画(以下、S分画とする)が2週間後の生存能が高いことをFACSを用いて同定した。本年は、S分画の細胞と、対照ATL細胞分画をそれぞれ新生児NOGマウス(出生後24-48時間以内)に経静脈的に移植しIn-Vivoにおける生存・増殖能を評価した。S分画の細胞を移植した際に、移植マウスは早期に腫瘍死し、マウス内末梢血・脾臓・肝臓等各臓器においても、元患者の末梢血の多数を占めた他のATL細胞分画を作り出すことが確認された。また、実際の患者症例において、化学療法前後のS分画の割合の変化を追ったところ、化学療法後には大部分のATL細胞が死滅しているにも関わらず、ATL細胞分画におけるS分画の割合が高度に高くなり(6.6%から87.0%へ)濃縮されることが繰り返し観察され、S分画の細胞は化学療法抵抗性であった。細胞周期解析においても、S分画の細胞はそのほぼ全てがG0/G1期に存在していた。患者末梢血単核球(PBMC)全体に対し細胞集団ヒエラルキー解析を行うと、S分画の細胞はATL細胞集団の根本に位置し、他のATL細胞がS分画に起源する結果が得られた。以上より、今回同定した細胞分画は前駆細胞を含む分画と思われ、今後さらなる解析をおこない、ATLの増殖メカニズムの解明ならびに治療法の開発につなげたい。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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