研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、電気化学的手法による高性能ナノコンポジット磁石膜の実現を目的とし、磁性ナノ粒子の電気泳動堆積(EPD)法と金属磁性膜の電析法(電気めっき)を組み合わせ、磁性ナノ粒子をナノメートルオーダーで内包した新規複合磁石膜の開発を行うものである。昨年度までに、本研究で提案している手法によりFe-Coナノ粒子(平均粒径:15 nm)とL10 Fe-Pt電析膜からなる複合磁性膜の形成を達成したが、試作した膜の磁気特性は改善の余地が大きい状況であった。このため本年度は、膜の形成プロセスや熱処理条件を検討し、膜の磁気特性を改善することに注力した。これまでの複合膜は、1. Fe-Coナノ粒子電気泳動堆積、2. 表面修飾剤除去を目的としたFe-Coナノ粒子電気泳動堆積膜の水素ガス中熱処理、3. Fe-Pt電析膜との複合化、4. Fe-Ptの規則化を目的とした複合膜の真空中熱処理の手順により試作を行っていた。このプロセスでは表面修飾剤が除去された分散性の悪いFe-Coナノ粒子をFe-Pt電析膜中へ複合化しているため、複合膜中にFe-Coナノ粒子の凝集領域が形成され、試作した膜の磁化曲線はFe-CoとFe-Ptの磁気特性が分離した振舞いを示した。複合膜中のFe-Coナノ粒子の分散性を改善するために1. Fe-Coナノ粒子電気泳動堆積、2. Fe-Pt電析膜との複合化、3. 表面修飾剤除去およびFe-Ptの規則化を目的とした複合膜の水素ガス中熱処理の手順により複合膜の試作を行った。新たなプロセスは表面修飾剤により被覆されたFe-Coナノ粒子をFe-Pt電析膜中へ複合化するものであるため、試作した複合膜ではFe-Coナノ粒子の分散性の向上が確認された。また、Fe-CoとL10 Fe-Ptの微細な複合組織の形成により、磁化曲線がFe-CoとFe-Ptの特性が分離した振舞いではなく、ナノコンポジット磁石のように単相材料のような振舞いを示す複合磁性膜の実現が達成された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Japanese Journal of Applied Physicss
巻: 54 号: 7 ページ: 075201-075201
10.7567/jjap.54.075201
210000145357