研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は、人間の冗長方向の制御方策を調べることによって、冗長方向を含んだシナジー制御・学習モデルを考案し、脳活動情報を用いて冗長ロボットアームを制御するBMI制御へと応用することである。本年度は、目標に冗長方向がある場合の冗長性問題を中枢神経系がどのように扱っているのかを計測実験により確かめた。目標に冗長性がある多様体到達運動と冗長性のない二点間到達運動の間で運動キネマティクスを統制し、運動終点での手先インピーダンスを比較した。計測実験の結果,キネマティクスの統制条件下であったとしても,目標に冗長性がある場合に手先インピーダンスは有意に小さな値となっていた。この結果は,中枢神経系は目標の冗長性問題を陽に解いて多様体到達運動を二点間到達運動に変換するというよりも,目標の冗長性を保持し,多様体到達運動の計画および実行に利用していることを示唆した。また、軌道追従タスクにおいて追従目標に冗長性がある場合と無い場合の、外乱に対する応答を比較した。外乱に対する応答の腕運動はUCM解析によって定量的に評価された。その結果、目標に冗長性が無い場合にはある場合と比較して、必ずしも関節角のばらつきが小さくなるわけではないことを示した。また、目標に冗長性がある場合は、利用可能な関節角の冗長空間(UCM)をより広く使って応答することが明らかになった。さらに、中枢神経系による多関節制御を実現するために、どのように多筋を制御するのかも重要な問題である。本研究では、筋シナジーの観点からこの多筋制御に焦点を当て、実験的に筋シナジー仮説の妥当性を検証する枠組みを考案した。本年度に得られた結果は、中枢神経系による目標の冗長性、すなわち冗長方向の制御方策を実験的に確かめた点で重要な知見であり、制御モデル構築の際に重要なてがかりになると考えられる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
Human Movement Science,
巻: 46 ページ: 104-116
10.1016/j.humov.2015.12.010
PLoS ONE
巻: 10 号: 4 ページ: e0125464-e0125464
10.1371/journal.pone.0125464
巻: 10 号: 10 ページ: e0140836-e0140836
10.1371/journal.pone.0140836