Ｘ線自由電子レーザーを用いたコヒーレントＸ線溶液散乱法の開発

• 研究課題/領域番号: 14J07747
• 研究種目: 特別研究員奨励費
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 国内
• 研究分野: 量子ビーム科学
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 井上 伊知郎 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
• 研究期間 (年度): 2014-04-25 – 2016-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2015年度)
• 配分額: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円); 2015年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円); 2014年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
• キーワード: X線自由電子レーザー / ポンプ・プローブ / コヒーレントX線 / X線散乱

研究実績の概要

本研究の目的は、「スペックルを利用したX線溶液散乱法」というアイデアをもとにX線自由電子レーザー(XFEL)、SACLAを用いて結晶化不要のタンパク質構造解析を実現することにある。スペックルを利用したX線溶液散乱法とは、タンパク質溶液からのスペックル状の散乱像を解析（方位角方向の散乱強度の相関を計算）して分子の構造情報を引き出す手法である。
近年の理論的な研究の進展によってXFELのパルス幅と同程度の時間スケールで測定試料へのX線ダメージが起こり得ることが明らかになってきた。そのため、高強度のX線を利用した構造解析を行うためには、X線ダメージの影響を考慮にいれる必要がある。このX線ダメージ過程を実験的に明らかにするために、今年度は、10フェムト秒を切る時間分解能を持つX線ポンプ・X線プローブ法を開発し、フェムト秒の時間スケールで起こるX線ダメージ過程の観測を可能にした。そしてダイヤモンドを試料として、ポンププローブ実験を行なった結果、X線照射後20フェムト秒からクーロン爆発による原子移動が顕著になることが明らかになった。
本研究の最終目的であるスペックルを利用したX線溶液散乱法は、２年間の特別研究員の期間内に実現できなかったが、XFELの光特性評価や高強度X線が物質に及ぼすフェムト秒ダメージの観測といった、要素技術を確立することに成功した。これらの技術をもとにして、結晶化不要のタンパク質構造解析の実現に向けて研究を発展させていきたい。

現在までの達成度 (段落)

27年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

27年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Observation of femtosecond X-ray interactions with matter using an X-ray-X-ray pump-probe scheme (2016)
  • 著者名/発表者名: I. Inoue, Y. Inubushi, T. Sato, K. Tono, T. Katayama, T. Kameshima, K. Ogawa, T. Togashi, S. Owada, Y. Amemiya, T. Tanaka, T. Hara, M. Yabashi
  • 雑誌名: Proc. Natl. Acad. Sci. USA 巻: 113 号: 6 ページ: 1492-1497
  • DOI: 10.1073/pnas.1516426113
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Inline spectrometer for shot-by-shot determination of pulse energies of a two-color X-ray free-electron laser (2016)
  • 著者名/発表者名: K. Tamasaku, Y. Inubushi, I. Inoue, K. Tono, M. Yabashi, T. Ishikawa
  • 雑誌名: J. Synchrotron Radiat. 巻: 23 号: 1 ページ: 331-333
  • DOI: 10.1107/s1600577515020196
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Characterizing transverse coherence of an ultra-intense focused X-ray free-electron laser by an extended Young’s experiment (2015)
  • 著者名/発表者名: I. Inoue, K. Tono, Y. Joti, T. Kameshima, K. Ogawa, Y. Shinohara, Y. Amemiya, M. Yabashi
  • 雑誌名: IUCrJ 巻: 2 号: 6 ページ: 620-626
  • DOI: 10.1107/s2052252515015523
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [学会発表] X線ポンプ-X線プローブ法によるフェムト秒X線ダメージ過程の観測 (2016)
  • 著者名/発表者名: 井上伊知郎, 犬伏雄一, 佐藤堯洋, 登野健介, 片山哲夫, 小川奏, 亀島敬, 富樫格, 大和田成起, 雨宮慶幸, 田中隆次, 原徹, 矢橋牧名
  • 学会等名: 第29回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム
  • 発表場所: 千葉
  • 年月日: 2016-01-09
• [学会発表] Characterization of transverse coherence properties of ultra-intense focused X-ray free-electron laser (2015)
  • 著者名/発表者名: Ichiro Inoue, Kensuke Tono, Yasumasa Joti, Kanade Ogawa, Yuya Shinohara, Yoshiyuki Amemiya and Makina Yabashi
  • 学会等名: SRI 2015
  • 発表場所: ニューヨーク
  • 年月日: 2015-07-06
  • 国際学会
• [学会発表] 非同一２粒子間の散乱波干渉測定によるXFELの空間コヒーレンス測定 (2015)
  • 著者名/発表者名: 井上伊知郎, 登野健介, 城地保昌, 亀島敬, 小川奏, 篠原佑也, 雨宮慶幸, 矢橋牧名
  • 学会等名: 第28回放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム
  • 発表場所: 立命館大学びわこ･くさつキャンパス（滋賀県草津市）
  • 年月日: 2015-01-10 – 2015-01-12
• [学会発表] X線コヒーレンスと非結晶構造解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 井上伊知郎
  • 学会等名: 日本結晶学会年会及び総会
  • 発表場所: 東京大学（東京都文京区）
  • 年月日: 2014-11-01 – 2014-11-03
  • 招待講演
• [備考] X線自由電子レーザーの可干渉性を可視化
  • URL: http://www.k.u-tokyo.ac.jp/info/entry/22_entry422/
• [備考] フェムト秒で起こるX線損傷過程の観測に成功
  • URL: http://www.k.u-tokyo.ac.jp/info/entry/22_entry454/