研究課題
特別研究員奨励費
生体肝移植術後における合併症発症は患者の予後を左右する重大な問題である。中でも急性拒絶反応は、タクロリムス等の免疫抑制薬を使用しているにも関わらず発症頻度が高く、一刻も早い解決が望まれる。また、現在までに様々な肝機能マーカーが見出され日常診療で広く用いられているものの、肝機能障害の原因が様々であり、例えば過剰な免疫反応の結果生じる拒絶反応なのか、反対に過剰免疫抑制による感染症なのかによって対応が大きく異なるが、現状これらを見分けることは困難である。そこで、急性拒絶反応を正確に予測、診断することが可能となれば、患者の予後は劇的に改善されると想定し、その分子生物学的指標の確立を目指した。健常成人由来の移植肝における遺伝子発現量の違い、すなわち移植肝の体質が移植術後の拒絶反応の頻度・重症度に関連するという仮説を立てた。術直前の移植肝における遺伝子発現量を比較するため、800例を超える移植肝生検の中から、原疾患を胆道閉鎖症とする小児移植症例12例の検体を選択し、マイクロアレイを行った。その結果、経過良好群に比して急性拒絶反応群において有意に低値を示した遺伝子を急性拒絶反応発症に関与する候補分子とした。さらに、抽出した分子のmRNA発現量をリアルタイムPCRにより測定することで再現性および予測性評価を行った。これら遺伝子を対象にGene Ontology解析を行うことによって、生体内でどのような役割を持つ遺伝子が多く含まれているのか検討した。その結果、細胞のストレス応答に関連する遺伝子群が発現低下していることが明らかとなり、術前よりストレスに対する応答機構が低下している肝臓を移植された症例においては、その後急性拒絶反応によるグラフト機能不全に陥る危険性が高まる可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
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