研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、これまでの研究成果により同定した、未分化細胞から心臓細胞への運命決定に関わるSall1遺伝子に焦点を当て、1.心臓細胞運命決定機構のより深い理解、2.心臓再生の活性化メカニズムの理解を目指してきた。本年度では、Sall1の強制発現により心筋誘導が効率よく引き起こされること、さらには効率の良い心筋誘導にはSall1の発現タイミングが厳密に決められていることをDOX-Sall1ヒトiPS細胞を用いて明らかにした(Morita et al., JMCC 2016 3月号 表紙掲載:特願2015-187363)。さらには、マウス胚を用いてSall1がMesp1に依存しない新たな心臓細胞系譜を規定すること、Sall1-Mesp1遺伝子欠損マウスでは心臓が欠損することを明らかにしただけでなく、ヒトiPS細胞を用いたIP解析では、2因子が相互作用することを突き止めた。現在RNA-seqを行っており、今後より詳細に解析しSall1を基盤とした心臓細胞プログラムを明らかにする。また、心臓再生時に再誘導されたSall1陽性細胞がThy1陽性であり、培養後心トロポニン陽性の心筋細胞へと分化することを明らかにした。本年度ではin vivoの系を用いて、心臓再生時に再出現するSall1陽性細胞の系譜追跡を行う為に、tamoxifen依存的にSall1の系譜追跡が可能なSall1CreERT2マウスおよびレポーターROSA-YFPマウスを用いて心尖部切除後にtamoxifen投与し追跡を行った。その結果、切除部位にてYFP陽性細胞はサルコメア構造を有する心筋細胞へと分化していた。現在、心臓再生にSall1が積極的に機能するのか検討を行っており、本研究が遂行された際には、心臓再生の新たなメカニズムを明らかにできるだけでなく、他臓器の再生研究へも新たな知見をもたらす可能性を秘めており、大変意義深い研究といえる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Molecular and Cellular Cardiology
巻: 192 ページ: 158-162
10.1016/j.yjmcc.2016.02.008