研究課題
特別研究員奨励費
昨年度作成したシステムレベルシミュレータは,アンテナパターンに関する実装が理想的なものであったため,より現実的なアンテナモデルを実装し,再度シミュレーションを行った.実際に用いる予定のアンテナは,マイクロストリップアンテナを一つの素子とする8x2平面アレーアンテナを一つのモジュールとし,それを複数束ねて非常に細いビームを形成している.本シミュレータにおいても,マイクロストリップアンテナの理論モデルおよび平面アレーアンテナのアレーファクタを算出することにより,この状況を模擬した.用いるマイクロストリップアンテナは,対象を60GHzとして設計されており,単体では7dBiの正面利得を持つ.一つのアンテナモジュールでは正面利得が18dBi程度となり,今回のモデルではこのモジュールを8つ束ねることを想定しており,これらすべてを用いてビームを形成した場合,最大で28dBi程度の利得を達成できる.このアンテナパターンを新たに実装してシミュレーションを行ったところ,シングルユーザMIMOを用いる場合で平均スループットは現在のおよそ1000倍の21.67Mbps,システムレートも現在のおよそ1000倍の127.44Gbpsを達成できることがわかった.これまではマルチユーザMIMOを適用する場合に,各ユーザに対して正面利得25dBiの理想的なビームを形成できるとしていたが,実際のアンテナパターンを考慮した場合には実現が難しいため,より現実的なマルチユーザMIMOの適用方法を考案・実装する必要がある.これまでのところ,各小セルが3つのセクタを持ち,それぞれのセクタが独立したアンテナモジュールを持つものとして実装を行っている.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEICE Transactions on Communications
巻: 3 ページ: 388-402