研究課題
特別研究員奨励費
本研究では,効果的な除細動治療の実現に向けて,心臓旋回性興奮(SW)停止のための効果的な点通電刺激条件を明らかにする事を目的として,光学マッピングを用いた動物実験と,コンピュータシミュレーション実験を行い,点通電刺激がSWに与える影響を定量的に解析した.昨年までに、通電刺激の影響を評価するための客観的なSW中心の挙動解析手法として、位相分散解析を用いる新たな解析手法を提案した.さらに本年度は,以下の事を行った。■点通電刺激実験:ウサギ摘出心標本を用いて,誘発したSWに対し様々な位置,タイミングで点通電刺激を与える動物実験を行った.位相分散解析によるSW中心の挙動解析の結果,点通電刺激によりSWの興奮後面に複数のSW中心が発生し,それらが興奮後面に沿って移動し衝突する事による,SW中心位置の移動原理が明らかとなった.またこのようなメカニズムから,SWシフトを誘発する上で,SW興奮後面の通過直後への通電刺激が最も効果的である事が示唆された.■心臓電気シミュレーションモデル:効果的な点通電刺激パターンを検討するため,心臓電気シミュレーションモデルを構築した.SWに対する効果的な通電刺激パターンの仮説として,線状の連続点通電刺激プロトコルを提案し,心臓電気生理バイドメインモデル上で誘発したSWに対する点通電刺激実験によって有効性を検証した.SW中心が興奮後面に沿って解剖学的ブロックラインまで移動し,SWの停止に成功した.以上の検討結果から,本研究を通じて,SW中心から興奮後面が解剖学的ブロックライン方向に伸びているタイミングでの,興奮後面への選択的な点通電刺激によって,SW中心を興奮後面に沿って解剖学的ブロックラインまで移動させ,SWを効果的に停止させる点通電刺激プロトコルの可能性を示した.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 産業財産権 (2件)
Biomedical Optics Express
巻: 8 号: 4 ページ: 2339-2358
10.1364/boe.8.002339
IEEE transactions on bio-medical engineering
巻: Vol.PP 号: 9 ページ: 1795-1803
10.1109/tbme.2015.2502726