研究課題/領域番号 |
14J08989
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
数学基礎・応用数学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神谷 亮 東京大学, 数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2016年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2016年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2015年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2014年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 有限体 / 可積分系 / p進数 / 離散戸田方程式 / KP階層 / セルオートマトン / p進付値 |
研究実績の概要 |
これまでの研究では、可積分方程式のp進体上の解について、それが差分方程式の解になっているなどの良い性質を持つためには、可微分性だけでなく解析性等の付加的な性質を要求することが妥当であることを、以前より強い形で示してきた。より具体的には、「KP階層のp進関数解について、τ関数が広田・三輪方程式を満たすpseudo-constant係数の多項式である場合、それは定数係数の多項式でなければならない」という予想を、τ関数が非自明な分割に対応するシューア多項式のpseudo-constant係数の線形結合を用いて表されるある場合について示した。また、解析性を課したWeierstrassの楕円関数についてのp進的挙動を調べ、代表的な可積分方程式であるKdV方程式の楕円関数解を用いた特殊解のp進的挙動を明らかにすることを試みたが、可積分方程式の楕円関数解のp進的挙動を調べる上では役に立たないことが判明した。 そのため、具体的な解の表示があり、Lie代数との関連も明示されている離散戸田方程式に焦点を絞り、特にその有限体における解の振る舞いについて調べてきた。特に力学系と考えた場合に重要な点は、周期系の場合、有限体での時間発展は一意的ではなく、0を除いた有限体F_pに値をとるとしても、たとえば p-1 通りの発展が得られることである。この時間発展の様子はいくつかのグラフを用いて記述できることが判っているが、完全に数学的な構造がわかっているのは標数が小さく、次数の小さい場合に限られている。現在、より次数の高い、また標数の大きな系に関して、そのグラフ構造やp進数対との関連について研究中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
p進数体上のKP階層の理論を構築することが目的であったが、形式的な拡張は可能であるものの、p進数体にすることで得られるはずの良い解が、なかなか見つからず、リギッド幾何学の枠組みにもなかなか乗らず、結局、KP階層そのものを用いることは断念せざるを得なかった。そのため、現在では戸田方程式の離散系について、有限体においてLie代数を用いた拡張とグラフ構造を研究中である。
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今後の研究の推進方策 |
周期的境界条件を課した離散戸田方程式に対して、解のグラフ構造をラックス表示の次数と有限体の標数との関連について調べてゆく。現時点では、次数が2であり、かつ標数が3,5の場合については判っているが、これ以上の次数、標数については予想すら存在しない。最初はMathematicaなどを援用して数値的にしらみつぶしの形でグラフ構造を書きくだし、そこから一般的な表式を導くことを試みる。一方で、有限体からp進数体に拡張した場合の解の振る舞いに関して考察をおこない、簡約による有限体への写像が具体的に有限体上の写像としてどのように現れるかを考察する。計算機の進歩により数式処理速度が上がっているので、予想などを比較的構成しやすいと考えられる。 一方で、離散戸田方程式を変形し、特異値閉じ込めの再定式化であるco-primeness 条件を満たしながら、「可積分ではない」系を構成することを試みる。実際、通常の離散戸田方程式において k-変形したものは、比較的よいτ関数の構造を持つことがわかっている。したがって、k-変形を行うことにより得られた系について、3種類の境界条件(半無限,ディリクレ,周期境界条件)に対して、各項の値の初期値依存性を求め、co-primeness および Laurent性を考察し、その有限体への拡張を研究する予定である。
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