配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2016年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2015年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2014年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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研究実績の概要 |
昨年度の研究課題では、炭酸ガス化合法の際にアミノシランを一定の割合で添加することで、新規な結晶構造を持つ炭酸カルシウム粒子の合成に成功した。また、本粒子は擬似海水中において溶解・再析出によりアラゴナイト型構造の沈殿物を形成するとともに、水溶液中のSr2+イオンを高効率に取り込むことを明らかにした。今年度は上述の機序を明らかにすることをめざし、新規炭酸カルシウム系粒子の構造解析を行った。 炭酸ガス化合法の際、仕込み濃度が1.0および0.4 mol/Lとなるよう水酸化カルシウムおよびアミノプロピルトリメトキシシランを添加することで試料を得た。走査型電子顕微鏡での観察より、粒径が0.2 μm以下の粒子からなる凝集体が観察された。試料のX線光電子分光スペクトルより、炭酸カルシウムに由来するCa, CおよびO元素(Ca2p:347.5 eV, C1s:289.9 eVおよびO1s:531.9 eV)、ならびにカルバメート化シロキサン(SiO1.5-(CH2)3-NH-COO-)に由来するSi, CおよびN元素(Si2p:102.4eV, C1s:285.2eVおよびN1s:399.5eV)のピークが検出された。透過型電子顕微鏡による電子線回折から求めた試料中の炭酸カルシウムの結晶格子サイズはa:11.96, b:9.58, c:7.38 (Å)(空間群:Pnma)であった。粒子のX線回折パターン、および得られた結晶格子のパラメータをもとにリートベルト解析を行った。その結果、上記の炭酸カルシウムは化学組成Ca12C12O40をとることが示された。また構造中の酸素原子の一部は炭酸イオンを形成せず電荷中性が取れない状態であることが明らかになった。これらの結果から、粒子中の炭酸カルシウムは12(CaCO3・0.3H2O)で示される新規な炭酸カルシウム水和物結晶であると示唆された。
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