配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2016年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2015年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2014年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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研究実績の概要 |
本属糸状菌4種の無菌栽培のノシバの根面での増殖能力を調査した結果、無菌でないポット栽培のノシバでの試験とは異なり、すべての種で増殖した。この結果より根圏定着能力の主因となる生理学的能力は、植物との直接的相互作用よりも、他の根圏微生物との相互作用に関わる能力にあると推察された. 本属糸状菌と根圏微生物との相互作用として、抗菌活性と土壌静菌作用に対する性状の調査を行った. 本属糸状菌が根圏に定着している時の抗菌活性能力を評価するために、本属糸状菌4種について、インゲンマメの根滲出液で培養した時の培養濾液の抗菌活性を比較した結果、ノシバ根圏で増殖可能な2種(M. pingshaense, M. lepidiotae)は比較的高い抗菌活性を示し、ノシバ根圏で増殖しない2種(M. acridum, M. pemphigi)はほぼ抗菌活性を示さなかった。この結果より、根圏で増殖する能力は抗菌活性と関連していると考えられた。土壌静菌作用に関して、供試した4種とも土壌静菌作用の影響を受けることが確認されたが、ノシバ根圏で増殖可能な2種が特異な性状は示すことはなかった。 本属糸状菌属の各種の寄主昆虫別の分離株数を、海外の既知データと本研究で新たに同定した日本株の結果から集計すると、ノシバの根圏で増殖する3種, M. pingshaense, M. lepidiotae, およびM. robertsiiを含む最小の単系統に所属する種はその外群と比較して、コガネムシ科を含め土壌生息性昆虫からの分離株数が多かった。この結果は、この単系統内で、土壌生息性昆虫へ寄主範囲を拡大と根圏定着能力の獲得が同時期に起こった可能性を示唆している。抗菌活性は根圏定着に重要であると考えられたが、土壌生息性昆虫への適応で抗菌活性が獲得され、それにより根圏定着能力が進化しやすかった可能性が考えられる。
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