研究実績の概要 |
【目的】骨格筋のアミノ酸トランスポーターは筋細胞膜に位置し、筋内外へのアミノ酸輸送を担っている。近年の研究では、レジスタンス運動がmTORC1の活性化およびATF4の発現量の増加を介してアミノ酸トランスポーターのタンパク質発現量を増加させると報告されている。しかし、運動様式の異なる有酸素性運動がATF4およびアミノ酸トランスポーターのタンパク質発現量に及ぼす影響に関しては知られていない。そこで、本研究では、一過性の有酸素性運動が骨格筋におけるATF4およびアミノ酸トランスポーターに与える影響について検討することを目的とした。 【方法】11週齢オスのSprague-Dawleyラットに対して、一過性の有酸素性運動(速度: 25m/min, 時間: 60min)を実施し、運動終了0、1、3、6時間後に腓腹筋を摘出した。また、運動していないラットを対照群(CON)とし、同様に腓腹筋を摘出した。Akt/mTORシグナル伝達経路に関わるシグナル因子、ATF4およびアミノ酸トランスポーターであるSNAT2のタンパク質発現量をウエスタンブロッティング法にて評価した。 【結果】一過性の有酸素性運動によって、Aktのリン酸化レベルは運動終了直後でのみ有意な増加が認められた(P<0.05 vs. CON)。次に、p70S6KおよびrpS6のリン酸化レベルは運動終了直後、運動終了1、6時間後において有意な増加が認められた(P<0,05 vs. CON)。一方、ATF4のタンパク質発現量は運動終了から1、3時間後において約3倍に増加し、SNAT2のタンパク質発現量は運動終了6時間後において約1.5倍の有意な増加が認められた(P<0.05 vs. CON)。 【結論】一過性の有酸素性運動はmTORC1の活性化、ATF4およびアミノ酸トランスポーターのタンパク質発現量を増加させることが明らかとなった。
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