研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、セントロメア領域の構造が高等真核生物と高い類似性を示す分裂酵母を用いて、ヘテロクロマチン形成機構の解明を目指した。これまでの解析から、RNAi因子のCid12pとスプライシング因子が結合すること、セントロメア領域から発現するdg non-coding RNAにイントロンがあることを見出し、スプライシング因子を介したセントロメアヘテロクロマチン形成モデルを提唱した。前年度までに、dgイントロンの上流領域に結合する候補タンパク質(以降30Dと表記)を同定した。本年度は、同定した30Dタンパク質のヘテロクロマチン形成に関する働きについて調べた。抗体染色により30Dの局在を調べた結果、核内に分布することが分かった。さらに、30D欠失株を作成して表現型を調べた結果、微小管重合阻害剤であるThiabendazoleに高い感受性を示すこと、セントロメア領域のH3K9me2修飾がdcr1欠失株と同程度まで減少することが分かった。これらのことから、30Dは、dgイントロンに結合してヘテロクロマチン形成の促進を担っている可能性が示唆された。dgイントロンの特徴の一つとして、非常にスプライシング効率が悪い点が挙げられる。そこで、dgイントロン(加えて、antisense dgイントロン、dhイントロンに関しては前年度報告済み)以外のセントロメア領域に存在するイントロン7種においてスプライシング効率を調べた。その結果、7種全てのイントロンにおいてpre RNAのバンドが検出され、その多くのイントロンは、スプライシング効率が非常に悪いことが分かった。つまり、dgイントロン以外のセントロメア領域に存在するイントロンにおいてもスプライシング効率が悪いことが分かり、何らかの共通した働きがあることが示唆された。これは、セントロメア領域から発現するncRNAに関する新たな知見である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS Genetics
巻: 13 号: 2 ページ: e1006606-e1006606
10.1371/journal.pgen.1006606
120006697213