研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、スキルミオンと呼ばれる渦状の磁気構造が発現させる多彩な電磁気応答に注目し、スキルミオンの高効率制御方法の提案を目指している。特に、Cu2OSeO3という物質においてスキルミオンが発現するということが近年明らかになったが、この物質はスキルミオン物質の中でも唯一絶縁体であり、なおかつ磁性と誘電性が強く結合したマルチフェロイクスとしての性質をもつ。申請者は、これまでこの物質特有の性質を応用することによってスキルミオンの新奇な制御方法の開拓に取り組んできた。本年度では前年度から行っていたスキルミオンの電場制御について、バルク結晶において帯磁率測定、薄膜において軟X線散乱実験を行うことでそれぞれについてさらに詳細な知見を確立した。バルク結晶では、スキルミオン相は高温領域の狭い領域においてのみ安定化することが知られているが、電場によってスキルミオンの準安定状態を安定化させ、もとのスキルミオン相よりはるかに広い領域でスキルミオンが存在させられることを示した。その一方で、薄膜ではそれぞれの磁気相の安定性がバルク結晶とは異なるために、バルク結晶で観測された電場変化とは異なるものが観測された。またこれらの実験に加えて、マイクロ波分光や軟X線散乱を用いることで、スキルミオンの磁気共鳴やスキルミオン格子の磁気変調波数の磁場変化についてもそれぞれ調べた。これまでスキルミオン格子は磁場変化があまりないものと思われてきたが、これらによればスキルミオン格子自体にも磁場変形がある上に、低温高磁場領域においてはスキルミオンが新しい状態になっている可能性があることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件)
Physical Review B
巻: 印刷中
Physical Review Letters
巻: 114 号: 19 ページ: 197202-197202
10.1103/physrevlett.114.197202