研究課題
特別研究員奨励費
本研究課題では、生体内で老化細胞が蓄積すると加齢性疾患を発症するのか、老化細胞の誘導方法が異なると生体内での機能や免疫系との相互作用が異なるのか、について研究を行った。タモキシフェン(TM)投与によって、機能的マーカーであるp16Ink4aの発現を全身で誘導できるマウス(p16-Tgマウス)は、誘導後脱毛や筋力低下、さらには骨量の低下など個体老化で見られる変化が観察された。また、TM投与によって、発がんストレスにより細胞老化を誘導するHRASV12の発現を全身で誘導できるマウス(HRAS-Tgマウス)では、誘導後3-4週間で衰弱死することが判明した。血清検査の結果、HRASを誘導したマウスでは腎不全を示唆するBUN, クレアチニンの増加がみられた。また、p16-Tgマウスでは、上記の腎不全のマーカーには変化はみられず、腎臓は細胞老化の質の違いを観察するのに適した臓器である可能性が高い。また、4-OHTを皮膚塗布することによって、p16Ink4aとHRASを誘導する組織を皮膚上皮細胞のみに限定し観察することにした場合、短期的にはp16過剰発現細胞が減少しないのに比べ、RAS過剰発現細胞は誘導後1-2週間程度で半減する。長期的に観察すると、4-OHT塗布後の皮膚はp16-Tgマウスは毛周期が停止し体毛が生えてこないのに対し、HRAS-Tgマウスは皮膚が肥厚し腫瘍が発生する。腫瘍内部にはHRAS誘導細胞がクラスターを形成しており、初期に除去されなかったHRAS誘導細胞が増殖したことが想定されるが、腫瘍内のHRAS誘導細胞は細胞増殖のマーカーKi67陰性でありその周囲の細胞がKi67陽性であった。さらには、HRAS誘導細胞はDNAダメージマーカーが陽性であることからも、細胞老化により増殖停止している可能性が高い。老化細胞が周囲の細胞をがん化させる可能性について現在調査中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Aging Cell
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