研究課題
特別研究員奨励費
アブラナ科植物Brassica rapaの自家不和合性を制御する花粉因子SP11の対立遺伝子間の発現には優劣性の現象が見られ、優性側のSP11近接領域から作られる低分子RNA(Smi)が劣性側SP11プロモーターのメチル化を誘導し、その発現を数万分の一まで抑制することが強く示唆されている。しかし、その強力な発現抑制機構の詳細は不明であった。シロイヌナズナを用いて本優劣性現象を再現させるため、B. rapaの劣性SP11プロモーター:GUSとSmi産生領域を導入したが、GUSの発現抑制は確認されなかった。導入したSP11プロモーター領域のみでは不十分である可能性が考えられ、約1.5kb上流に位置するSP11プロモーターと高い相同性を示す3回繰り返し配列に着目した。劣性SP11プロモーター:GUSおよび繰り返し配列を含む劣性SP11プロモーター:GUSをそれぞれB. rapaに導入したところ、繰り返し配列を含む劣性SP11プロモーター:GUS導入株においてのみ、Smi存在下でGUS染色が見られなくなる程の強い発現抑制が確認された。この繰り返し配列もSmi存在下でDNAメチル化されていることが確認され、SmiによるSP11の強い発現抑制にはSP11上流の繰り返し配列を含む広範囲のゲノム領域が重要であることが示唆された。Smiで説明できる優劣性関係は一部に限られており、今回、新たな低分子RNAであるSmi2を見出し、Smi2が他の4つの対立遺伝子間の優劣性を制御していることを明らかにした。各Smi2は自己よりも劣性のSP11プロモーターと高い相同性を示しており、DNAのメチル化を誘導することで劣性SP11の発現を抑制していた。B. rapaにおける優劣性が全て低分子RNAによって説明でき、低分子RNAを介したエピジェネティックな優劣性制御が普遍的に関与していることを明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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