研究課題
特別研究員奨励費
FGF21(Fibroblast Growth Factor 21)は肥満・糖尿病モデルマウスで全身のインスリン感受性の改善などへの関与が知られている分泌性線維芽細胞増殖因子である。前年度における研究結果より、FGF21が薬剤刺激による小胞体ストレスを軽減する作用を有する因子であることが示唆された。そこで今年度は薬剤以外に小胞体ストレスを惹起する刺激として知られる再摂食条件においても同様の効果が確認されるかを検討した。野生型およびFGF21欠損マウスに3時間の再摂食実験を実施した結果、FGF21欠損マウスにおいて絶食及び再摂食による小胞体ストレス応答因子の遺伝子発現が野生型マウスと比較して上昇傾向にあった。さらにアデノウイルスを用いてFGF21を過剰発現させたFGF21欠損マウスに絶食再摂食刺激を与えたところ、再摂食によるBiPやERAD遺伝子の発現上昇が減弱した。以上の結果より、FGF21は薬剤以外の小胞体ストレスに対する軽減作用を有していることが示唆された。前年度において、脂肪肝発症モデル食餌で慢性的な小胞体ストレスを誘発することが知られているメチオニンコリン欠乏(MCD)食を4週間摂取させたFGF21欠損マウス肝臓中トリグリセリド量を測定した結果、有意な蓄積増大が見られ、PPARgの発現が増加していた。PPARgの発現は脂肪肝で高いことが知られている。そこで、FGF21欠損マウスで見られたMCD食誘導性脂肪肝におけるPPARgの関与を調べるため、PPARg阻害剤をMCD食摂取マウスに投与する実験を実施した。PPARg阻害により、野生型マウスでは肝臓トリグリセリド量の変動は認められなかったが、FGF21欠損マウスでは肝臓トリグリセリド量が低下していた。以上のことから、FGF21欠損マウスにおけるMCD食誘導性脂肪肝にはPPARgが一部寄与していることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)
Biosci. Biotechnol. Biochem
巻: in press 号: 5 ページ: 1-6
10.1080/09168451.2015.1135045
巻: in press 号: 6 ページ: 1-6
10.1080/09168451.2016.1146072