研究課題
特別研究員奨励費
Helicobacter属菌は、グラム陰性、微好気性のらせん菌であり、現在少なくとも40菌種が報告され、ヒトや犬、猫をはじめ様々な動物の消化器に広く生息していることが知られている。ヒトでは、胃癌などの原因となるH. pyloriが有名だが、犬や猫ではH. pyloriの感染は非常にまれであり、H. bizzozeronii、H. felis、H. heilmannii sensu stricto (s.s.)などのnon-H. pylori Helicobacter species (NHPH)が高率にみとめられることが海外で報告されている。NHPHの一部はヒトでは胃炎や胃リンパ腫などの発症に関連することが疑われているが、犬や猫での病原性については一定の見解が得られていない。また国内の犬と猫におけるNHPHの大規模な疫学調査は行われていない。そこで、研究1-1および研究3では、国内の犬と猫の胃へのHelicobacter属菌の感染率と感染菌種を上部消化管内視鏡検査を実施した犬および猫の臨床症例で調査した。研究1-2では、研究1-1においてH. pyloriの感染がみとめられた犬の1症例に関して、その同居犬と飼い主におけるH. pyloriの感染状況および家庭内感染の可能性を探った。研究2および研究4では、研究1-1および研究3で得た感染率、感染菌種の結果を踏まえながら犬と猫におけるHelicobacter属菌の病原性を臨床的、臨床病理学的および病理学的見地から検討した。研究1-1と研究3をまとめたものは、既に国際学術誌に受理され出版予定である。また、研究2と研究4をまとめたものも、既に国際学術誌に受理され出版予定である。研究1-2の内容は、本学医科学研究所との共同研究であり、現在国際学術誌に投稿準備中である。また、本研究員は第90回日本細菌学会総会で開催されたシンポジウム「腸肝在位Helicobacter感染症研究の最前線」において獣医学的立場からの講演を依頼され、自身が特別研究員として活動中に得た研究成果を紹介した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
The Journal of Veterinary Medical Science
巻: 79 号: 5 ページ: 876-880
10.1292/jvms.16-0567
130007331473
The Veterinary Journal
巻: 印刷中 ページ: 56-62
10.1016/j.tvjl.2017.04.004