研究実績の概要 |
2015年度前期で暗黒物質探索用のサブミクロン飛跡解析装置二号機の立ち上げを行った。従来機よりもさらに性能を向上させ、非常に高い空間分解能とコントラスト下での飛跡読み出しを可能にする。また現在、1g/10dayの解析スピードを達成しており、2016年7月にスタート予定のグラムスケール実験(1st-Run)に向けて最終調整中である。この結果について、日本物理学会2015年秋季大会で発表を行った。また、読み出し性能および解析装置についての報告を国際会議ICAI2015、およびCYGNUS2015で行った。 2015年度後半からはステージの調整と並行してバックグラウンドのスタディを開始した。そこで現在最も探索範囲をリミットするメインバックグラウンドが原子核乾板内に混入しているダストライクなシグナルであることが分かった(~E+8 counts/g, パラメータカットする前)。また、各条件を徐々に振っていくことでその主要原因が原子核乾板のバインダーを構成するゼラチンであること、その多くはゼラチンの生成過程から来る生物由来のCa化合物であることを突き止めた。また、この問題を解決するためには濾過による混入物の除去が有効であること(~E+6 counts/g, after 0.1um-hole filter, パラメータカット前)を示し、ゼラチンをはじめとした検出器の原材料(薬品など)をフィルタリングする装置を立ち上げた。今後は解析ステージの調整が終わり次第、現状のダスト混入レベルでの探索範囲曲線を実測によって描く予定である。
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