研究課題
特別研究員奨励費
アストロサイト共培養法がヒトiPS細胞由来ニューロンの長期培養を可能とし、自発活動を促すことが、昨年度の研究成果より明らかとなった。今年度は、細胞が折り重なる程度の高密度(高さ10μm)でヒトiPS細胞由来ニューロンとアストロサイトを共培養し、長時間にわたる自発活動の特性を調べ、培養時期と成熟化の関係性を見出すことを目的に研究を行った。アストロサイトと共培養することで、これまで難しかった1年以上の長期培養および電気活動の取得に成功した。自発活動の発火頻度に着目して解析を行ったところ、培養日数の経過と共に発火頻度が増加し、培養200日程度まで顕著な増加を示していた。神経ネットワークがシナプス伝播により同時期に活動する同期バースト発火に着目して解析したところ、培養70日目以降で見られ、その後培養増加していた。同期バースト発火は、in vivoでも見られる現象であり、機能的成熟化の指標の1つとなりうる。このような同期バースト発火はRatの神経細胞を用いた場合は培養10日程度で見られることから、ヒトiPS細胞由来ニューロンの機能的な成熟化には時間を有することがわかった。また、薬理試験の結果からも培養200日以上で顕著な各種受容体の応答が得られたことから、ヒトiPS細胞由来ニューロンを用いた薬効評価は培養日数を考慮する必要性が示唆された。次に、3次元培養技術を用いて、ヒトiPS細胞由来ニューロンを培養したところ、厚さ50μm程度の組織モデルを構築することができた。2次元培養と3次元培養による機能的な差異を現在調べている。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 5件)
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 469(4) 号: 4 ページ: 856-62
10.1016/j.bbrc.2015.12.087
Biochemical and Biophysical Research Communications
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