研究課題
特別研究員奨励費
一般相対論の代替理論としてどのような可能性があるかを探求するため、平成28年度に以下3つの研究を行った。1.重力場と質量を持ったベクトル場の非自明な相互作用の探求:宇宙初期のインフレーションや現在の宇宙の加速膨張を、重力場と非自明に相互作用するスカラー場(もっとも単純な場)によって説明しようという研究がこれまで盛んに行われてきた。これらの研究により、いままで不可能であると考えられていた余分なゴースト自由度を生じない高階微分を含む相互作用の存在が明らかになった。私はスカラー場に関するこれらの近年の発展が、より複雑な、質量を持ったベクトル場に関しても応用可能であることに着目し、これまでに誰も提唱していなかった余分な自由度の生じない重力場とベクトル場の相互作用を構築した。2.上記の理論における、宇宙の安定性の解析:上記のようなベクトル場が存在する場合に、実際の宇宙膨張にどのような影響を及ぼすか、特に、膨張宇宙が安定かどうかは極めて重要である。私はこの理論が加速膨張宇宙解を持つことを明らかにし、さらに、宇宙論的摂動論を用いた解析により、加速膨張宇宙が安定であることを明らかにした。3.高階微分重力理論による宇宙初期特異点回避の研究:特異点の生成は一般相対論の抱える大きな問題である。特異点が生成されうる強重力領域では重力の量子効果が無視できなくなると予想され、これが特異点の生成を妨げるはずだと期待されている。したがって、特異点の生成されない古典重力理論が構築は未知の量子重力理論の古典的有効理論の有力な候補となる。私は曲率スカラーに上限が存在するような高階微分重力理論に関し、膨張宇宙解を構築した。私は膨張宇宙解の周りの摂動を解析することによって、従来知らていた理論はゴースト不安定を生じ整合的でないことを明らかにした。さらに、このゴースト不安定性を回避するような新しい理論の拡張に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
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