研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、代理親魚技法の実用化に必須な不妊宿主魚を大量生産するために、遺伝子操作による生殖細胞除去技法の構築を目指している。本年度は、生殖細胞特異的にニトロ還元酵素を生産する遺伝子導入ニジマス系統Tg(vasa-ntr:Gfp)を作出し、当該個体に無毒なMetronidazole(Mtz)を投与することで、生殖細胞のみでMtzがニトロ還元酵素により毒物へと変換され、生殖細胞が細胞死により消失するか否かを検討した。まず、Tg(vasa-ntr:Gfp)の生殖腺を蛍光顕微鏡下で観察した結果、生殖腺内に緑色蛍光を発する細胞を有していたことから、生殖細胞においてニトロ還元酵素と緑色蛍光タンパク質の融合タンパク質を生産した個体が得られたことが示唆された。そこで、水温18℃で飼育したTg(vasa-ntr:Gfp)の孵化稚魚を10mM Mtzを添加した環境水で14日間飼育し、生殖細胞を欠損した個体が得られるかを検討した。また、生殖細胞特異的に緑色蛍光を発する遺伝子導入ニジマス系統Tg(vasa-Gfp)を対照区として同様の条件で飼育した。これらの個体を解析した結果、Mtz添加区のTg(vasa-ntr:Gfp)はすべての生殖細胞を欠損していなかったものの、Mtz添加区は無添加区に比べて生殖細胞数が約80%減少した。対照区であるTg(vasa-Gfp)のMtz添加区は、未添加区に比べて生殖細胞数が約50%減少した。したがって、Mtzには細胞毒性があること、また、Tg(vasa-ntr:Gfp)が生産したニトロ基還元酵素は水温18℃では活性が低いことが示唆された。さらに、水温10℃で飼育したTg(vasa-ntr:Gfp)の腹腔にMtz(50mg/kg・bw)を14日間注射投与し、生殖細胞欠損個体が得られるかを検討した。その結果、生殖細胞を欠損した個体は得られなかったことが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biology of Reproduction
巻: 94 号: 4 ページ: 1-12
10.1095/biolreprod.115.136929
Fisheries Science
巻: 80(4) 号: 4 ページ: 767-773
10.1007/s12562-014-0742-x