研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、自閉症スペクトラム障害(Autism spectrum disorders: 以下ASD)児の発話におけるプロソディの特徴を検討することを目的としている。平成27年度は、ASD児の音声コーパスの構築、およびデータ解析、更には聴覚印象評定実験、質問紙調査を実施した。ASD児、および定型発達児、計26名を対象とした音声収録実験を既に完了し、平成26年度より本格的なコーパス構築作業および解析作業へと移行した。前述の音声収録実験では、1)課題音声、2)自由発話音声の2種類の発話を収録した。以上の音声データを利用して、それぞれの音声について解析を行った結果、高機能ASD児においては、基本的な文型産出の差異のプロソディは定型発達児と同様に産出可能であるが、自由対話場面においては様々なプロソディの違和感や不自然さが顕在化することが示唆された。また並行して、ASD児の実際の指導現場において、「プロソディ」の問題が、教員の中で認識されているかどうか、実態を把握することを目的として、通級指導教室の教員を対象とした質問紙調査を実施した。その結果、ASD児には独特なプロソディがあることは、教員の中でもある程度共通した認識として持たれていることが確かめられた。しかしながら、ASD児の言語指導において、「プロソディ」の問題に焦点が当てられることは少なく、指導における優先順位が低いことや、指導方法や教材が無いことなどが報告された。一方で、ASD児のプロソディの問題に関心を持っている教員も少なくないことが明らかになった。以上のように本研究では、ASD児におけるプロソディの表出面に焦点を当て様々な示唆が得られた。このようなASD児のプロソディの問題は、基礎的研究が進んでおらず、本研究をはじめとする基礎的研究が進められることで、今後の教育的・臨床的な発展が期待できると言える。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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