配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2016年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2015年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2014年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究実績の概要 |
研究課題1)「どのような若者が援助希求行動をしないのか」を解決するため日本の中高生約2万人を対象とした精神保健調査の解析を行った結果、いじめの被害を受けている生徒で希死念慮が深刻になるほど、つまり自殺リスクの高い生徒ほど援助希求行動が行われない傾向があることが示された(Kitagawa et al., 2014, PLOS ONE)。この結果を受けて、希死念慮や自傷行為といった自殺リスクの高い生徒を特定するため、本人が回答しやすく、周囲も問いやすい質問に着目した。具体的には食欲の低下、不眠に着目し、これら身体的不調が希死念慮や自傷行為と関連するかについて調べた。その結果、食欲がないという訴えをもつ者、不眠を訴える者はそれぞれの訴えのない者に比して、希死念慮、自傷行為のオッズ比が3-5倍となることが明らかとなった。これらの関連は自殺と関わりの強い不安・抑うつ症状を考慮にいれた解析を行っても、引き続き同様の傾向が見られた。この研究は、国際学術雑誌に掲載された(Kitagawa et al.,2016, Appetite)。さらに、食欲不振、不眠以外の身体愁訴と自殺リスクの関連について検討を進め、国際学術雑誌への投稿を進めている。 上記の研究結果を踏まえ、タブレット端末を活用した自殺リスクを含む精神不調スクリーニングツールの開発を進めている。ツールに搭載したアルゴリズムは、国際的に標準化された尺度による評価に加え、先行研究の知見をもとにスクリーニングを行うものである。また生徒が抵抗感少なく回答できるよう構造の工夫を行った。約10校に導入済みである。 研究課題2)では、いじめ対策プログラム冊子を作成済みであり、多数のメディアに取り上げられた。小中高等学校、教育委員会等からの問い合わせを受け、現在までに約5000冊を配布した。第2版の作成、効果検証を進めていることろである。
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