研究課題
特別研究員奨励費
◎カテプシンL(CL)とポドサイト障害CLは重要なポドサイト関連タンパクの分解に関与しており、腎障害時にCLの発現が亢進し、それらのタンパクを過剰分解することで、ポドサイト障害を増悪させることが報告されている。昨年度までの研究で、CLノックアウトマウスに糸球体硬化モデルであるアドリアマイシンを投与すると、前述の基質の分解が抑制され、野生型と比し、糸球体硬化が有意に少ないことが明らかとなっていた。本年度、CLの新たな基質(Protein X)が腎障害時に過剰分解され、スリット膜が崩壊し、ポドサイトがアポトーシスに至ることが明らかとなった。◎カテプシンD(CD)とポドサイト障害昨年度までの研究でポドサイト特異的CDノックアウトマウスは生後5ヵ月でタンパク尿が出現、加齢と共に糸球体硬化が進行し、生存期間は野生型に比し短いことが明らかとなっていた。さらに、CD欠損がポドサイト障害をもたらす機序として、①オートファジー・リソソーム経路が停滞しアポトーシスに至ること、②CDの基質であるATP合成酵素サブユニットCがリソソーム内へ蓄積し、神経細胞と同様の細胞障害をもたらすことも示された。本年度の研究で、スリット膜を構成するポドシンとネフリンがCDの基質であることが新たに明らかとなった。ポドサイト特異的CDノックアウトマウスでは、ポドシン・ネフリンがスリット膜から細胞質に局在変化し、蓄積していた。さらに、ヒト腎生検組織でCD発現の変化を検討した結果、腎予後良好な微小変化群では糸球体内のCDの発現が亢進し、腎予後不良な巣状分節性糸球体硬化症では発現が低下していた。本研究により、ポドサイトの恒常性にCDが重要な役割を果たしていることが初めて明らかとなった。さらに糸球体におけるCDの発現がヒト慢性腎臓病の病態と関連している可能性も示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of the American Society of Nephrology
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