研究課題
特別研究員奨励費
細胞は、上流における数十分スケールのシグナル伝達活性から下流において数時間から数日スケールの遺伝子発現の誘導へと上流の情報をデコード処理しており、分化や増殖などの細胞運命を制御している。しかしながら、そのような時間スケールの異なるシステムを同定する手法は提案されていなかった。そこで、圧縮センシングという工学で画像修復や超解像に広く用いられているスパースなデータから信号の修復を行いながら信号処理する技術を応用することで、時間スケールの異なる時系列データからでも欠損しているデータを信号修復しながらシステム同定を行った。本研究においては神経分化の研究に用いられているPC12細胞を用い、ERKとCREBリン酸化および、初期応答遺伝子Immediate Early Genes産物、PC12細胞において表現型である神経突起身長と相関があるデコーダー遺伝子のmRNA発現のスパースな時系列データを計測した。これらスパースな時系列データをもとにシステム同定を行い、経路未知であったこれら分子間のネットワーク推定を行った。さらに、システム同定に用いた数理モデルからは応答の感度特性とどの程度信号が効率よく伝わっているかというゲイン特性、どの程度応答が遅れるかという指標になる時定数を定量した。同定したシステムは薬剤による摂動実験によって検証することができ、時間スケールが異なってスパースな時系列データしか計測できない系においてもシステム同定を行うことのできる手法を開発することができた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) 備考 (2件)
PLOS ONE
巻: 11(8) 号: 8 ページ: 1-20
10.1371/journal.pone.0160548
Cell Reports
巻: 15 号: 11 ページ: 2524-2535
10.1016/j.celrep.2016.05.024
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