配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2016年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2015年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2014年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究実績の概要 |
昨年度の研究により、Glycoprotein non-metastatic melanoma protein B (GPNMB)はNa+, K+-ATPase αサブユニットと結合し、Na+, K+-ATPase αサブユニットを介してPI3K/AktやMEK/ERK経路を活性化させることを見出した。GPNMBはがんの侵潤や増殖に関与しており、グリオーマで高発現しており、がんの進行に関与する。また、Na+, K+-ATPaseもグリオーマで高発現しており、がんの進行に関与する。そこで、本年度はGPNMBあるいはNa+, K+-ATPaseが病態進行に関与している可能性が考えられる、原発性脳腫瘍グリオーマに着目し,GPNMBがNa+, K+-ATPaseを介して脳腫瘍を悪化させるか否かについて検討した。 マウスグリオーマモデルの腫瘍組織およびヒトグリオブラストーマの腫瘍組織において、GPNMBはNa+, K+-ATPase αサブユニットと結合した。また、GPNMB過剰発現マウスでは野生型マウスと比較し、グリオーマの形成が増大した。さらに、Na+, K+-ATPase阻害剤は、GPNMB過剰発現マウスにおいて腫瘍の形成を抑制した。加えて、GPNMBはグリオーマ細胞の遊走を促進させ、Na+, K+-ATPase阻害剤によりこの遊走促進作用が抑制されることも見出した。以上の結果より、グリオーマ病態において、GPNMBはNa+, K+-ATPase αサブユニットを介してグリオーマ細胞の遊走を促進することで、腫瘍形成を促進し、グリオーマ病態の進展に関与していることが示唆された。したがって、これらの知見はグリオーマの病態の解明並びにそれら疾患に対する新規治療薬の開発につながることが期待できる。
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