研究課題
特別研究員奨励費
本研究では脂質やコレステロール合成制御に関わる転写因子SREBPに着目し、新規の内因性SREBPインヒビターとしてヒドロキシビタミンDを見出した。今年度はビタミンDの担う新規脂質制御メカニズムの全貌を明らかにし、Cell Chemical Biol.誌に論文を発表した。昨年度までに、ビタミンDがSREBPの結合パートナーであるSCAPに直接作用することで、SCAPがプロテアーゼによるプロセシングを受け、更にユビキチン・プロテアソーム系によって分解されることを既に明らかにしていた。しかしSCAPのプロセシングとSREBP活性抑制との因果関係を示す直接的なデータがなかった。そこで今年度はまずSCAPの一連の欠損変異体の評価により、プロセシングサイトを約9アミノ酸領域まで絞った。そしてそのデータをもとにプロセシングに耐性を持った変異体SCAPを作成し、ビタミンD依存的な分解を受けないことを確認した。更にこの変異体SCAP安定発現株においては、ビタミンD存在下でも、SREBPの活性が回復していることを示した。以上のことから、SCAPのプロセシングが、SREBP活性化抑制の引き金であることが明らかとなった。これまでビタミンDの脂質代謝などへの関与は、疫学的な知見しか報告がなかった。本研究はその分子メカニズムの一端を明らかにしたと言える。また現在更にビタミンDの誘導体展開を進めている。SREBPが関与する代謝メカニズムや疾患の解明のためのツールとなる人工ビタミンDを作ることにつながると考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cell Chem Biol.
巻: 24 号: 2 ページ: 207-217
10.1016/j.chembiol.2016.12.017