研究課題
特別研究員奨励費
我々は膵癌細胞株のarray-CGH法を用いた解析の結果からアクチビン受容体であるアクチビンA受容体type IBの欠損を同定した。そこで膵癌におけるアクチビンシグナルについての研究を行い、治療標的なり得るかを検証した。まず受容体非欠損株ではアクチビンAによる刺激で増殖が抑制されること、さらにshRNAによりその受容体をノックダウンしたところ、アクチビンによる増殖抑制シグナルがキャンセルされ、癌の進展に関わっていることを証明した。また膵癌の生検サンプルでは29例中6例で受容体が欠損していた。一方で膵癌患者の血清のアクチビンA濃度をELISAで測定したところ、予想と反してアクチビンA濃度が高い群が予後不良であった。さらにMIA PaCa-2という膵癌細胞株はアクチビンAにより極端に増殖が亢進した。アクチビンによる増殖抑制効果と増殖促進効果の違いを調べるために代表的な下流シグナルを検証したところ、MIA PaCa-2はSMADシグナルに加えて非SMADシグナルのPI3KやJNKシグナルが活性化しており、増殖が抑制される細胞株では非SMADシグナルは活性化されていなかったことを見出した。アクチビンAのサブユニットであるINHBAを強制発現した細胞株を作成したところMIA PaCa-2については増殖が亢進した。さらにINHBA強制発現株を移植したマウスはコントロールに比較して体重が極端に減少し、予後が極めて不良であった。解剖したところ筋組織の委縮が著明でアクチビンによる悪液質の影響が考えられた。膵癌におけるアクチビンシグナルは一部では癌抑制的に作用するが一部では癌促進的にも作用し、さらに悪液質へ関与することが示唆された。そういった群ではアクチビンシグナルが治療標的となり得、抗体療法といった実際の治療についての検証も計画している。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)
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