研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は摂食タイミングを制御する体内時計神経回路を同定し、全身の概日リズムを制御する体内時計中枢・視交叉上核との相互作用と内的脱同調のメカニズムを明らかにすることである。げっ歯類に於いて一日の摂食タイミングを昼間の一定時間に制限することで、給餌時刻を予知するかのような行動・内分泌リズムが形成されることが知られている。本研究では、12週齢(若齢群)と54週齢(中期加齢群)の雄性マウスについて摂食タイミングと輪回し行動、体重変化について相互の関連を調べた。若齢群・中期加齢群共に夜行性の輪回し行動リズムをみとめるとともに、夜間摂食パターンを示した。制限給餌開始後、若齢群では早期に昼間の給餌前に輪回しが増加するのに対し、中期加齢群では給餌前行動の形成が遅延した。この間、摂食量は自由摂食時の1割程度に落ち込み、体重は急激な減少を示したが、制限給餌の継続につれて、行動量が徐々に増え、摂食量は制限給餌開始後14日で自由摂食時の73.0%に達し同量を維持した。4週間の時間制限給餌後、自由摂食条件に戻すと、昼間の後半に食餌する摂食パターンは数日間の移行期間をもって夜間摂食に推移し、輪回し行動リズムにも給餌前行動の夜間行動パターンへの移行期間として反映した。 また、中期加齢群では、自由摂食移行後、輪回し行動が無周期性を示す個体がみとめられた。以上の結果より、摂食タイミングと給餌前行動はサーカディアンリズムの特性を示し、これらのリズムは、視交叉上核によって制御される通常の夜行性リズムから乖離することが明らかになった。概日リズム制御の出力維持、または強化の基盤回路を明らかにすることで「生理的に規則正しい生活」を達成し社会不適応や生活習慣病の予防と積極的な治療への応用が期待される。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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